~豪雪地域の悪条件を乗り越えて築く養豚経営~
養豚部門 ㈲澤口養豚場 代表取締役 澤口茂利
1.地域の概況
中魚沼郡川西町は、新潟県の南部、長野県と接する中魚沼郡の北西部に位置しており、町を南北に伸びる標高約400mの関田丘陵によって東部地区と西部地区に二分されている。東部地区は町の東端、十日町市との境に信濃川が流れており、その左岸には妻有盆地を形成する肥沃な河岸段丘が広がっている。この河岸段丘の80%以上が農用地として利用されており、農業を中心とした産業・行政・教育の中心となっている。一方、西部地区は山あいを南北に流れる渋海川に沿って集落・農地が点在しており、美しい自然を擁している。
気候は、典型的な日本海型気候で、積雪は2~3mにも及ぶが、この雪が清澄な水をもたらし、良質米生産の源泉になっている。
(1)産業構造(平成12年度)
(単位:人・%)
区 分 | 総 数 | |||
第一次産業 | 第二次産業 | 第三次産業 | ||
就業人口 | 4,340 | 695 | 1,841 | 1,804 |
構 成 比 | 100.0 | 16.0 | 42.4 | 41.6 |
(2)農業粗生産額(平成13年度)
(単位:百万円・%)
農業粗生産額 | 畜産物 | 米 | 葉たばこ | 野菜 | きのこ |
2,769 | 325 | 2,010 | 73 | 178 | 183 |
100.0 | 11.7 | 72.6 | 2.6 | 6.4 | 6.6 |
(3)飼養頭羽数(平成16年5月現在)
(単位:戸数・戸、頭数・頭、羽数・百羽)
区 分 | 乳用牛 | 肉用牛 | 豚 | 採卵鶏 | ||||
戸数 | 頭数 | 戸数 | 頭数 | 戸数 | 頭数 | 戸数 | 羽数 | |
県 | 408 | 13,315 | 437 | 16,069 | 216 | 220,680 | 43 | 32,165 |
川西町 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6,811 | 0 | 0 |
2.経営管理技術や特色ある取り組み
経営実績とそれを支える経営管理技術、 特色ある取り組み内容とその成果等 | 左記の活動に取り組んだ動機、背景、経過やその取り組みを支えた外部からの支援等 |
1.飼料・生産資材の共同購入の一元化 妻有畜産株式会社(中魚沼郡内の養豚経営者10名のグループ)の社長を務め、飼料並びに生産資材の購入に当っては、一元化して購入を行い購入単価の引き下げに努めている。 妻有畜産の設立により、構成員の飼料費は10~40%低下し、2年後には飼料代の未払い金が全額返済され、資金繰り・経営体質に余裕がでてきたため、戸数の減少を食い止めるべく後継者の就農や若手従業員の雇用もみられるようになった。 なお、生産物の販売は銘柄豚「妻有ポーク」「妻有ハーブ健康豚」「妻有ハーブ豚純生」として付加価値販売を行っている。 1)飼料・資材の共同購入:どこよりも安くをモットーにスケールメリットを活かして構成員に資材を提供。 2)経営の安定化に向けた積み立て:飼料・枝肉の価格変動や事故等に備えて経営体力を付ける。 3)構成員の資質向上:月1~2回程度の定例会を開催し、会社運営の検討、養豚経営に関する情報・技術の交換等を実施 2.隔離豚舎利用組合設立による独自防疫体制の確立 早い時期から地域一丸となって防疫対策に取り組んできた結果、中魚沼地域はオーエスキー病、PRRS清浄地域を維持している。 3.地域農業の振興と後継者の育成 平成4年に県指導農業士に認定され、地域農業の振興と後継者対策に努めている。農業研修生の受け入れ等を積極的に行っている。 4.地域養豚の活性化とイベント開催 養豚経営者の自主研究組織「TPPC(津南ポークプロデュースクラブ)」で、衛生面の関係で実施が厳しいとされる生体の共進会や、優良個体を識別する能力を競うジャッジングコンテストを実施している。 5.家畜診療所との協力体制で築く妊娠診断 農協養豚部会で妊娠鑑定器(画像)の共同利用を提案して、十日町地域家畜指導診療所とのタイアップ体制を作り、管内の豚繁殖成績向上に努める。 また、メーカーが月1回無料で妊娠鑑定(ドップラー)を実施してくれるので、前記画像鑑定と併せると、月2回の妊娠鑑定となり、不受胎豚の早期発見と繁殖成績の向上につながっている。 6.計数管理による経営管理体制の確立 日々の養豚経営に関する記録の全てを管理日誌に記帳している。見落としがちになりやすい豚の異動状況や健康状態等が正確に記録されることで、現状の飼養管理状況が的確に把握でき、それぞれの処置や対応が迅速に行われ経営改善につながっている。 7.システム管理による労務管理体制の充実 日常の飼養管理作業は、ウィークリー養豚の考え方を取り入れ、従業員の休日である毎週日曜日と隔週土曜日は最小限の管理作業で済むようにしている。 8.こだわりの種豚でブランド肉豚生産 1)繁殖雌豚は品質・系統を統一しており、妻有畜産グループ内のブリーダーからLW(ランドレース種と大ヨークシャー種の交雑)を導入している。 2)繁殖雄豚は産肉能力の高いデュロック種(D)を導入し、一部、全農の精液を用いて人工授精を行っている。 3)繁殖雌豚の飼養管理は、日々の個体管理の内容が把握できるように、個体毎に整理されている。 9.こだわり衛生管理とHACCP方式の導入 農場に合った衛生管理マニュアルと養豚生産現場でのHACCP方式を導入した衛生管理体制の確立で、平成16年3月にクリーンポーク認定事業の安心(衛生)農場として認定されている。 10.こだわりの飼料給与とブランド豚肉生産 自然素材を利用した豚の健康管理に努めており、一部の飼料にはハーブ粉末を添加している。肥育用としてハーブ・植物性たんぱく質・ビタミンE等が配合された飼料を使用し、肉の風味・色・保存性等の向上を図っている。 | 昭和50年代、中魚沼地域の養豚は1戸当りの規模が小さく、飼料購入や肉豚出荷は個々がバラバラに行っていた。また、戸数の減少を食い止め、地域の養豚の発展を図るためには、養豚農家が団結して経営改善に取り組む必要があった。 そこで、養豚農家の会合の場において、飼料・資材の一元化、経営体質強化を目的にした株式会社を設立するよう提案した。 設立当時、構成員は3つの農協に分かれていたが、スケールメリットを出すためには1つの農協に取引を統一する必要があった。当初、川西町農協に一元化することとしたが、当然他の農協から激しく抵抗を受けた。しかし、各農家が多額の負債を抱える中で、今やらなければ養豚農家が廃業に追い込まれてしまうとの危機感から、各地域の構成員とともに粘り強く交渉する日々が続いた。農協組合長や役員とも直接会って、負債の返済、養豚農家の生き残り、系統への集約等を話し合う中で、最終的には全ての農協から理解と協力を頂くことができ、県下で初めて農協を超えた組織ができるとともに、どこの農協も成し得なかった飼料購入・肉豚出荷の系統一本化が可能となった。 平成元年にオーエスキー病の浸入防止を目的に「十日町隔離豚舎利用組合」が設立されたがこの設立の中心的働きを果たしている。また、「中魚沼養豚防疫対策協議会」、「中越オーエスキー病防疫対策協議会」等の組織にも積極的に参画し、中魚沼地域の養豚防疫体制確立に多大な貢献を果たしている。 以前より地域での活動が評価され、地元農業改良普及センターの薦めもあり、平成4年に県指導農業士に認定されている。 また、平成10年から2年間、中魚沼指導農業士会会長並びに県指導農業士会理事を務めていた。 地域農業の振興と後継者対策に取り組み、研修生の受け入れを行っている。県が実施するインターンシップ事業にも協力し、地元の高校生を受け入れる等の活動を積極的に行っている。 中魚沼郡内の若手養豚農家で組織するTPPCは、29年の長い歴史を持っており、養豚経営者の豚改良技術の向上と親睦を目的として、毎年イベントを実施している。 本人は昭和55年から2年間、クラブの会長を務めていた。 養豚経営の中心となる生産技術の基本は、繁殖技術の向上であるとの信念から、実効性の高い器材を導入することとした。 画像妊娠鑑定器は、平成12年に県単補助事業で導入。 養豚経営の基本として、早い時期から記帳を実施しており、毎週末、管理日誌の記録をまとめてパソコン入力し、集中管理している。 従業員の休日確保のために実施。 その他、一般企業と同様に社会保険、労災保険、雇用保険等に加入。 種豚は血統が明らかなものを基礎豚として利用している。 また、衛生対策に万全を期すために地域外から搬入する場合は、隔離豚舎において40日間の隔離・検査を経て、安全性が確認された豚のみ導入している。 今後の養豚経営を取り組む上で、衛生管理が重要であることから、早々にHACCP方式の導入を決定した。 平成16年3月、県単事業のクリーンポーク認定事業にて、新潟県畜産協会が安心農場として認定した。 昭和63年当時、自家配合の飼料を使用し「つまりプライムポーク」のブランド名で上越地方のスーパーに出荷していたが、出荷先のスーパーが吸収合併されたことから3年ほどで途絶えてしまった。 平成12年3月、地元の大手スーパーから飼料会社に付加価値をつけた銘柄豚を販売したいと打診があり、同年6月、同養豚場がハーブ入り飼料を利用した豚肉の生産を開始している。 |
3.経営・活動の内容
(1)労働力の構成
平成16年7月現在
区 分 | 続柄 | 年齢 | 農業従事日数 | 年 間 総労働時間 | 労賃単価 | 備 考 (作業分担等) | |
うち畜産部門 | |||||||
構成員 | 本人 | 56 | 275 | 275 | 2,200 | - | 管理全般 |
妻 | 53 | 275 | 275 | 2,200 | - | 管理全般 | |
従業員 | 雇用 | 23 | 275 | 275 | 2,200 | 1,156 | 分娩・子豚、肉豚一部 |
雇用 | 24 | 275 | 275 | 2,200 | 1,058 | 分娩・子豚、肉豚一部 | |
パート | 65 | 300 | 300 | 1,500 | 925 | 畜舎修理、ストール ふん尿処理 | |
パート | 55 | 300 | 300 | 1,500 | 775 | ||
労働力 合 計 | 6人 | 1,700日 | 1,700日 | 11,800 時間 |
(2)収入等の状況
平成14年7月~平成15年6月
区 分
|
種 類
品目名
|
作付面積
出荷頭数
|
販売量
|
|
農業生産部門収入
|
畜 産
|
肉豚販売収入
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5,087頭
|
381,779kg
|
廃用豚販売収入
|
81頭
|
8,626.5kg
|
||
堆肥販売収入
|
-
|
|
||
|
|
|
||
耕種
|
米販売収入
|
40a
|
1,260kg
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林産
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加工・販売
部門収入
|
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農 外
収 入
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合 計
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(3)土地所有と利用状況
区 分
|
実 面 積
|
備 考
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うち借地
|
うち畜産利用地面積
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個
別
利
用
地
|
耕地
|
田
|
110a
|
a
|
a
|
|
畑
|
10a
|
a
|
a
|
|
||
樹園地
|
a
|
a
|
a
|
|
||
計
|
120a
|
a
|
a
|
|
||
耕地以外
|
牧草地
|
a
|
a
|
a
|
|
|
野草地
|
a
|
a
|
a
|
|
||
|
a
|
a
|
a
|
|
||
計
|
0a
|
a
|
a
|
|
||
畜舎・運動場
|
a
|
a
|
a
|
|
||
その他
|
山 林
|
70a
|
a
|
a
|
|
|
原 野
|
a
|
a
|
a
|
|
||
計
|
70a
|
a
|
a
|
|
||
共同利用地
|
a
|
a
|
a
|
利用戸数:
|
(4)家畜の飼養状況
単位:頭(羽)
品種・区分
|
種雌豚
|
種雄豚
|
子豚
|
肉豚
|
|
期 首
|
254
|
14
|
487
|
2,541
|
|
期 末
|
250
|
15
|
432
|
3,128
|
|
平 均
|
252.5
|
14.2
|
432.0
|
2,569.2
|
|
年 間 出 荷
頭(羽)数
|
-
|
-
|
-
|
5,087
|
|
(5)施設等の所有・利用状況
①所有物件
種 類 | 棟 数 面積数量 台 数 | 取 得 | 所 有 区 分 | 構 造 資 材 形式能力 | 備 考 (利用状況等) | ||
年 | 金額(円) | ||||||
畜 舎 | 豚舎 豚舎 豚舎 豚舎 | 1棟 1棟 1棟 1棟 | S49 S53 S58 S62 | 33,256,000 7,000,000 25,000,000 80,000,000 | 個人 個人 個人 個人 | 平屋 2階建て 2階建て 3階建て | |
施 設 | 堆肥舎 堆肥舎 堆肥舎 車庫 尿処理施設 スクレーパー 自動給餌ライン | 2棟 1棟 1棟 2棟 1,100m3 7基 6基 | S54 H5 H7 H7 H4 S62 H9 | 6,708,000 3,900,000 5,800,000 1,381,000 38,605,000 2,566,000 3,500,000 | 個人 個人 個人 個人 個人 個人 個人 | 鉄骨 鉄骨 木造 鉄骨 回分式活性汚泥法 | |
機 械 | 除雪機 タイヤショベル トラクター ダンプ トラック | 1台 1台 1台 1台 1台 | H8 H13 H13 H13 H16 | 639,000 1,527,000 7,600,000 676,000 3,000,000 | 個人 個人 個人 個人 個人 | 0.7㎡ 60ps 2t 4t |
(6)経営の推移
年 次 | 作目構成 | 頭(羽)数 | 経営および活動の推移 |
S44 S46 S47 S48 S49 S51 S53 S58 S60 S62 H元年 H4 H7 H8 H9 H12 H13 H16 | 水稲 80a 水稲 110a | 種豚7頭 種豚30頭 種豚40頭 種豚50頭 種豚70頭 種豚110頭 種豚200頭 種豚250頭 | ・県立農業講習所卒業後、川西農業協同組合に営農指導員として就職。 ・父親が農業近代化資金120万円にて養豚を開始。 ・2階建て豚舎を建設。規模拡大を図る。 ・一部2階建て豚舎を建設。 ・第二次構造改善融資事業により平屋建て肉豚舎を建設。 ・農事組合法人川西ファームを設立し、第二次構造改善事業により平屋建て分娩舎を建設。 ・川西農業協同組合を退職し、養豚業に参画。 ・短期融資にて、繋ぎ豚舎を建設。 ・公庫資金にて2階建て肉豚舎を建設。 ・妻有畜産株式会社を設立し、社長に就任する。 ・近代化資金、農協資金により3階建て豚舎を建設。 ・中魚沼十日町地域オーエスキー病対策協議会を設立して会長となり、中越オーエスキー病対策協議会の副会長に就任する。 ・十日町地域隔離豚舎組合を設立し、組合長となる。 ・回分式活性汚泥法式の汚水処理施設を導入。 ・県指導農業士に認定される。 ・有限会社澤口養豚場を設立。 ・3階建て豚舎の改装工事を実施する。 ・中越オーエスキー病対策協議会の会長となり、県オーエスキー病対策協議会の理事に就任する。 ・認定農業者に認定される。 ・ハーブ豚の作育に努め、ブランド豚肉として売り出す。 ・第31回日本農業賞新潟県大会個別経営の部にて、最優秀賞を受賞して新潟県代表となる。 ・現在に至る。 |
4.家畜排せつ物処理・利用方法と環境保全対策
(1)家畜排せつ物の処理方法
①固液分離処理の状況
全て分離
②固形分の処理(堆肥化処理等)
畜舎より自動除ふん装置(スクレーパー)にて排出されたふんは、堆肥舎でモミガラと混合して堆肥化を行う。堆肥化に要する期間は1~2ヶ月程度で、その間に2~3回ショベルで切り返しを行っている。製品化した堆肥は、2tダンプで年間約300台分程度製造しており、そのうち約100台分を販売している。残りは近隣の耕種農家に無償譲渡している。
③液体(尿・汚水)の処理
豚舎より排出した尿は、まず原水槽に貯留して、スクリーンにて混入物の除去を行った後、複合ラグーン方式の回分式活性汚泥法で浄化処理される。
(2)家畜排せつ物の利活用
①固形分
内 容 | 割合(%) | 品質等(堆肥化に要する期間等) |
販 売 | 30 | 約2ヶ月の堆肥化期間で、熟度は完熟に近い |
交 換 | - | |
無償譲渡 | 68 | 約1ヶ月の堆肥化期間で、熟度は半~完熟程度 |
自家利用 | 2 | 約1ヶ月の堆肥化期間で、熟度は半~完熟程度 |
そ の 他 | - |
②液体分
内 容 | 割合(%) | 浄化の程度等 |
土地還元 | - | |
放 流 | 100 | BOD、SSともに放流基準値内 |
洗 浄 水 | - | |
そ の 他 | - |
(4)評価と課題
①処理・利活用に関する評価
・減農薬・減化学肥料栽培が求められる中、耕種農家に堆肥の供給を行って耕畜連携を推進することで、地域のブランド米「魚沼コシヒカリ」の生産に大きく貢献している。
②課 題
・気象変動に左右されない栽培に向けた土づくりの積極的推進を図り、更なる耕畜連携の強化体制を作る。
(5)畜舎周辺の環境美化に関する取り組み
・農場が住宅地の近隣にあることから、農場周辺には杉やポプラなどの樹木を植え、景観の向上と 悪臭飛散の低減に努めている。
・畜舎周辺に花壇を作り、四季の花々を植栽して景観維持を行っている。
・また、敷地内には、芝を植えた庭園を造成しており、従業員や家族の憩いの場として利用されている。
5.後継者確保・人材育成等と経営の継続性に関する取り組み
・将来的には、有限会社澤口養豚場の構成員として経営参画してもらうことも視野に入れている。
・養豚関係の研修会や海外研修等への参加を促し、能力の向上を会社としてバックアップしている。
・若手従業員2名は地元の4Hクラブに加入しており、地域の同年代の農業青年、農業関係者と積極的に交流するよう奨めている。
本人の希望にもよるが、結婚後も安心して働き続けてもらえる職場にしたいと考えている。
6.地域農業や地域社会との協調・融和についての活動内容
・妻有畜産株式会社の社長を務め、飼料並びに生産資材の購入に当っては、一元化して購入を行い購入単価の引き下げに努めている。
・早い時期から地域一丸となって衛生管理を徹底し、地域養豚防疫体制を確立した。
・TPPCで養豚のイベントを開催し、肉豚を観察する目を養うことと消費者ニーズにあった生産性の高い豚肉生産についての知識と能力を深めている。
・ブランド米「魚沼コシヒカリ」生産のため、減農薬・減化学肥料栽培への取り組み強化として、耕種農家に堆肥の供給を行っている。耕畜連携を推進することで「売れる米づくり」を目指し、高品質・良食味米生産と販売拡大に向けた活動を強化している。
・指導農業士として地域農業の振興と後継者対策に努め、農業研修生の受け入れ等を積極的に行っている。
・畜産協会が開催した消費者交流会では、話題提供として澤口氏が妻有畜産の取り組み等を紹介した。安全・安心な豚肉を生産するよう努力していること、特にHACCP方式の考え方に対応した種々の取り組みが意欲的に実践されていることを消費者に理解してもらえたと考えている。
学校給食など地元での消費を拡大するために、学校給食関係者や生肉店経営者等を対象に研修会を開催した。長岡市営食肉センターや地元のファームランド木落の食肉加工現場の視察を行い、食肉処理、精肉加工までの衛生管理の徹底をPRした。
7.今後の目指す方向性と課題
平成11年の秋に3ヶ月間、病気療養のため入院した。この間、従業員や家族にかけた負担が大きかっ たことから、もう少し人員的にゆとりを持ちたいと感じている。
若い女性従業員2名とともに、養豚経営を楽しみながら「じょんのび型※」の経営を目標にしている。同時に地域循環型農業の確立を目指して、規模拡大よりも経営内容の充実に努める考えでいる。
※じょんのび:新潟県の方言で「ゆったり、のんびり」という意味